現金出納帳の残高がマイナス・合わないときの原因と直し方
現金過不足とは、帳簿上の現金の残高と、実際に数えた現金の金額が一致しないときの差額のことです。残高がマイナスになる、または実際の現金と合わないときは、いつから狂ったかを探す → 実際の現金を数えて差額を出す → 調べても分からない分だけ現金過不足として記帳するの順に進めます。帳簿を現金に合わせて黙って書き換えないことが、いちばん大事な決まりです。
1. 残高がマイナスになる4つの典型
現金は、手元にある金額より多く出ていくことはありません。だから、帳簿の残高がマイナスになる日は、ほぼ入力に原因があります。典型は次の4つです。
| 典型 | 起きていること | 見つけ方 |
|---|---|---|
| 記帳漏れ | 入金(売上、銀行からの引き出し)を記帳していない。または出金を二重に記帳した | レシートの束や通帳と、帳簿の件数を突き合わせる |
| 日付の前後 | 現金が動いた日ではなく、記帳した日を日付に入れた。入金が出金より後の日付になっている | マイナスになった日の前後の入金の日付を、レシートや通帳と照らす |
| 繰越の誤り | 開始残高や前月繰越が、実際の前月末の残高と違う | 前月末に数えた現金の合計と、開始残高を比べる |
| 私用の財布で払った | 個人の財布で払った事業の支払いを、事業の現金の出金として記帳した。またはその逆 | 手元の現金から実際に出たお金かを、本人に確かめる(6章) |
2. いつから合わなくなったかを見つける
残高がマイナスになったら、そこが原因ではなく、その少し前に原因があると考えます。取引の並びに沿って残高の列を上から順に追い、マイナスになる直前の入金と出金を、レシートや通帳と一件ずつ照らします。次は、10月上旬のある小口現金の帳簿の例です。
| 日付 | 摘要 | 入金 | 出金 | 残高 |
|---|---|---|---|---|
| 10/1 | 前日からの繰越 | 8,000 | ||
| 10/2 | コピー用紙A4(消耗品費) | 3,300 | 4,700 | |
| 10/3 | 切手(通信費) | 1,500 | 3,200 | |
| 10/3 | 宅配便の送料(通信費) | 4,400 | −1,200 | |
| 10/4 | 銀行から引き出し(引き出し) | 10,000 | 8,800 |
10月3日に残高が−1,200円になっています。3,200円しかない状態で、4,400円を払ったことになるからです。通帳を見ると、銀行から10,000円を引き出したのは10月3日の朝でした。引き出しを記帳した日(10月4日)を、そのまま日付に入れていたのが原因で、これが「日付の前後」です。
引き出しの日付を10月3日に直すと、10月3日の残高は、4,700+10,000=14,700円、切手のあとが13,200円、宅配便のあとが8,800円になり、マイナスの日はなくなります。最終の残高は8,800円のままで変わりません。最終の残高が合っていても、途中でマイナスになる日があれば、日付か記帳漏れの問題が隠れています。
3. 実際の現金を数えて差額を出す
日付の直しで残高の途中経過が整っても、帳簿の残高が実際の現金と合っているとは限りません。10月4日の終わりに、手元の現金を金種ごとに数えます。この例では、5,000円札が1枚、1,000円札が3枚、100円玉が3枚で、合計は5,000+3,000+300=8,300円でした。
帳簿の残高は8,800円なので、差額は「実際の現金 − 帳簿残高」で、8,300−8,800=−500円です(現金が足りない)。この差額を出す作業が実査です。数え方と手順は金種表と実査のやり方にまとめています。
4. 差額が残るとき: 現金過不足の記録
差額が−500円と出ました。ここで残高を8,300円に書き換えてはいけません。次の順に確かめます。
- 現金を、できれば別の人がもう一度数える。
- 金種表に入れた枚数に、桁や金種の間違いがないか見る。
- その日のレシートと帳簿を突き合わせ、記帳漏れや二重記帳を探す。
- 入金と出金の向き、金額、日付を見直す。
それでも原因が見つからなかったときだけ、差額を「現金過不足」として記帳します。この例では、現金過不足を500円の出金で記帳し、摘要に「10/4 実査差額 原因不明」と書いて、調べたことをメモに残します。すると帳簿の残高も8,300円になり、実際の現金と一致します。調べる順番は現金過不足とはに7つの手順で整理しました。
5. エクセルで起きやすい崩れ
表計算ソフトで出納帳を付けている場合は、残高の計算が崩れることも原因の一つです。残高の列に「上の行の残高+入金−出金」という式を入れていると、記帳漏れに気づいて行の途中に新しい行を挿入したとき、挿入した行の残高が空のままになることがあります。すると、その下の行の式は空のセルを参照して、残高が途中から別の数字になります。
たとえば、残高20,000円から始めて、3,980円、1,160円、840円を順に払うと、正しい残高は20,000−3,980−1,160−840=14,020円です。1,160円の行を後から挿入して残高の式を入れ忘れると、840円を払った行の残高が、空のセルを0として扱った0−840=−840円になります。
出納ポンは、残高を保存せず、表示のたびに全件から計算し直します。途中の行を直したり、日付を直して並びが変わったりしても、残高が式の崩れでずれることはありません。ツールの選び方はエクセル・スプレッドシート・アプリの選び方へ。
6. 立替・私用の財布が絡むときは、処理を税理士に確認する
スタッフが自分のお金で立て替えた支払いは、会社の現金は動いていません。精算で現金を渡した日に、出金として記帳します。反対に、事業の現金を個人の用に使った、個人のお金を事業の現金に入れた、という場合は、個人事業では「事業主貸」「事業主借」といった科目を使う考え方があります。
ただし、どの科目でどう処理するかは、個人事業か法人か、申告の方法によって変わることがあります。このページは処理のしかたを示すものではありません。立替や私用の財布が絡む支払いは、帳簿に付ける前に税理士に確認してください。
7. 出納ポンでの見つけ方
- 取引の並びで、残高がマイナスの日を探す。マイナスの日は朱で知らせます。
- 「実査」で金種ごとの枚数を入れ、帳簿残高との差額を出す。0なら「合」の印が出ます。
- 差額があれば、数え直しと記帳漏れの確認をしてから、必要な分だけ「現金過不足」で記帳する(入金か出金かは差額の向きで提案されます)。
月を締めたあとに間違いが見つかったときは、締めを解いて直し、もう一度締めます。解除には理由が必要で、日時とともに履歴に残ります(現金出納帳の月末の締め方)。
8. よくある質問
現金出納帳の残高がマイナスになるのは間違いですか?
現金は手元にある額より多く出せないので、マイナスの残高は、記帳漏れ・日付や向きの間違い・繰越の誤りなど、入力に問題があるしるしです。マイナスになった日の前後を、レシートや通帳と照らして探します。
残高が合わないとき、帳簿の残高を現金に合わせてよいですか?
原因を調べる前に合わせてはいけません。数え直し、入力の確認、記帳漏れの確認をしたうえで、それでも分からない差額だけを現金過不足として記帳します。月末や決算での扱いは、税理士に確認してください。
月が替わってから間違いに気づいたら?
締めた月の取引は変更できないので、締めを解いて直し、実査と差額を確かめ直してから締め直します。税理士に渡し済みなら、直したことを伝えてください。
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この記事の信頼性 運営は店舗運営支援の個人事業「ここ企画」で、税理士ではありません。この記事は帳簿づけの一般的な考え方と出納ポンの仕様にもとづく実務の整理で、税務の判断を示すものではありません。法令の数字や保存の要件は、国税庁の一次情報で確かめてください(国税庁 タックスアンサー No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度、適格請求書発行事業者公表サイト)。最終確認日: 2026年10月31日。