現金出納帳の月末の締め方(手順・締めたあとの訂正・税理士への渡し方)
月次締めとは、月末に帳簿の残高と実際の現金を確かめ、その月の記帳を確定して、次の月へ繰り越す作業です。締める理由は、税理士に渡した数字が、あとから黙って変わらないようにするためです。手順は、記帳漏れの確認 → 実査 → 差額の処理 → 締め → 控えを出力して渡す、の順です。
1. なぜ月ごとに締めるのか
- 渡した帳簿と手元の帳簿が食い違うのを防ぐ。
- 前月分の記帳漏れや修正が、今月の残高に黙って混ざるのを防ぐ。
- 月ごとに「ここまでは確認した」という区切りを作る。
2. 締めの手順
| 順番 | やること | 確かめること |
|---|---|---|
| 1 | その月のレシート・領収書と帳簿を突き合わせる | 記帳漏れ、金額・日付の間違い |
| 2 | 銀行への預け入れ・引き出し、帳簿間の移動を通帳や相手の帳簿と照らす | 片側だけの記帳が無いか |
| 3 | 残高がマイナスの日が無いか見る | 入金の記帳漏れ、入力の向きの間違い |
| 4 | 月末に実査して帳簿残高と比べる | 差額の有無 |
| 5 | 差額の原因を調べ、分からない分だけ現金過不足で記帳する | 現金過不足とは |
| 6 | 月を締める | 月末残高が実査と合っているか |
| 7 | 出納帳を出力して保存し、必要なら渡す | 渡す形式(5章) |
締める時期は、遅くとも翌月の早い時期に決めておくのがおすすめです(たとえば翌月5営業日まで、など店のルールとして)。締めを後回しにするほど、レシートの紛失や記憶の曖昧さで、差額の原因を調べにくくなります。
締める前の確認リスト
- その月の取引の日付が、すべてその月の中にある(月をまたぐ取引が混ざっていない)。
- 帳簿間の移動は、出金側と入金側の両方に記帳されている。
- 残高がマイナスになる日がない。
- 月末の実査の記録があり、差額の扱いが決まっている。
- レシート・領収書に証憑番号を振り、月ごとに保管できている。
3. 月末残高の例
レジの帳簿の10月分です。
| 項目 | 金額(円) |
|---|---|
| 前月繰越 | 52,300 |
| 入金合計(売上) | 412,600 |
| 出金: 仕入 | 148,200 |
| 出金: 消耗品費 | 6,480 |
| 出金: 旅費交通費 | 3,200 |
| 出金: 預け入れ(銀行へ) | 250,000 |
| 出金: 雑費 | 1,150 |
| 出金合計 | 409,030 |
| 月末残高 | 55,870 |
月末残高は、52,300+412,600−409,030=55,870円です。10月31日の実査で金種表の合計も55,870円なら差額は0で、このまま締められます。この55,870円が、11月の前月繰越になります。
4. 現金出納帳の訂正の仕方(締めたあとに間違いが見つかったら)
締めた月の記録を、黙って上書きしないのが原則です。直すときは、解除 → 直す → 締め直すの順に、理由と履歴を残します。
- 締めを解く。理由を必ず書く(例: 10/15の仕入の金額の入力ミスを訂正するため)。
- 該当の取引を直す。
- 実査と差額を確かめ直し、もう一度締める。
複数の月を締めているときは、新しい月から順に解き、古い月から順に締め直します。税理士にすでに渡している場合は、直したこと、直した箇所、直した理由を伝え、出力し直したものを渡します。
5. 税理士への受け渡し
税理士に渡すのは、月を締めたあとの控えです。締めた月は取引を変更できないので、渡した数字と手元の帳簿が食い違いません。何を、どの形式で、いつ渡すかを順に整理します。
何を渡すか
| 渡すもの | 出納ポンでの出力 | 中身 |
|---|---|---|
| 月別の出納帳 | Excel(出納帳のシート)、出納帳CSV、印刷(A4) | 月ごとの前月繰越・取引・月末残高。締めた月には「締」の印が付く |
| 科目別の集計 | Excel(科目別集計のシート) | 科目ごとの件数・入金・出金の合計 |
| 実査の記録 | Excel(実査のシート) | 日付・実際の現金・帳簿残高・差額・担当者・メモ |
| 会計ソフト向けの仕訳 | 仕訳CSV(「集計・出力」) | 1行が、日付・借方科目・借方金額・貸方科目・貸方金額・摘要・税区分・相手先。入金は「現金/科目」、出金は「科目/現金」 |
| 締めの履歴 | 画面の「締め」で確認(出力ファイルには含まれません) | 締めた時点の月末残高・件数・実査との差額と、解除の理由・日時 |
締めの履歴は出力ファイルに含まれないので、締めを解いて直したときは、直した箇所と理由を税理士に伝え(4章)、出力し直したものを渡します。
どの形式で渡すか
| 形式 | 向いている場面 |
|---|---|
| Excel | 月別の出納帳・科目別集計・実査の記録をまとめて渡す。年度の控えとしても保存する |
| CSV | 会計ソフトや表計算で加工する |
| 印刷(A4) | 紙で渡す、紙で保存する |
| 仕訳CSV | 会計ソフトに取り込んでもらう(入金は「現金/科目」、出金は「科目/現金」) |
どの形式で受け取りたいかは、税理士によって違います。渡す前に、形式と列の並びを税理士に確認してください。会計ソフト各社の専用形式には対応していないため、汎用の仕訳CSVの列を、取り込み側で合わせてもらう前提です。
いつ渡すか
- 月次: 月を締めたあと。翌月の決めた日(たとえば翌月5営業日まで)に、その月の控えを渡す。
- 年度の終わり: 年度の最後の月を締めたあと。年度で出力したExcelと印刷を渡し、手元にも控えを残す。
- 税理士から求められたとき: 税理士の作業の締め日に合わせて、渡す日と形式を先に聞いておく。
渡す前の確認リスト
- 渡す月がすべて締めてある。
- 実査の記録があり、差額の扱い(現金過不足の記帳)が済んでいる。
- 形式と列の並びを税理士に確認した。
- 渡したファイルの控えと、渡した日を残した。直したときは、出力し直して渡した。
帳簿の保存年数は、原則7年です(法人・個人事業の別や申告の方法で異なります。国税庁で確認してください)。電子データでの保存の要件も含め、保存の方法は税理士に確認してください。国税庁の案内の確認のしかたは現金出納帳の保存期間と保存方法にまとめています。
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この記事の信頼性 運営は店舗運営支援の個人事業「ここ企画」で、税理士ではありません。この記事は帳簿づけの一般的な考え方と出納ポンの仕様にもとづく実務の整理で、税務の判断を示すものではありません。法令の数字や保存の要件は、国税庁の一次情報で確かめてください(国税庁 タックスアンサー No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度、適格請求書発行事業者公表サイト)。最終確認日: 2026年10月31日。