現金出納帳の科目と仕訳の例(店舗・飲食・サロンでよくある取引24)
科目とは、お金の出入りが「何のためだったか」を分類するための名前のことです。現金出納帳では、入金か出金かに加えて、売上・仕入・消耗品費などの科目を付けておくと、月末にどの種類にいくら動いたかが見えます。この記事では、店舗・飲食・サロンでよくある現金の取引24件を、入出金の向き・科目・税区分の目安とあわせて表にしました。いずれも一般的な例です。迷ったときは、税理士に確認してください。
1. 科目と「仕訳」の考え方
現金出納帳には、日付・摘要・入金・出金・残高を書きます。このうち科目は、その入出金の「相手側」にあたる分類です。会計ソフトでいう仕訳(現金と相手科目の組)の、相手科目のほうを現金出納帳の1行に付けておく、と考えると分かりやすくなります。
決めておくと迷いが減る、3つの見方があります。
- 入金か出金か。現金が増えたなら入金、減ったなら出金です。
- 売上や経費か、置き場所が変わっただけか。銀行への預け入れ、帳簿のあいだの移動、店主とのやりとりは、売上でも経費でもありません。
- 税区分は何か。消費税を使う設定にしているときは、10%・軽減8%・非課税・不課税・対象外のどれかを付けます。表の税区分は「一般に」の目安で、実際はレシートの表示と事業の状況で決まります。
摘要の書き方は現金出納帳の書き方にまとめています。
2. 収入の例
売上や、その取り消しです。現金で受け取った分だけを、入金で記帳します。
| 取引の例 | 入出金 | 科目 | 税区分の目安 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| レジ精算の売上 摘要: 11/2 レジ精算(現金分) | 入金 | 売上 | 10% | 店内飲食は10%、持ち帰りの食品は軽減8%。レジの区分に合わせる |
| お客さまへの返金 摘要: 11/2 返金(返品)/お客さま | 出金 | 雑費 | 10% | 出金には売上を選べない。返品の整理は税理士に確認 |
3. 仕入・経費の例
現金で払った仕入や経費は、出金で記帳します。税区分は「一般に」の目安で、実際のレシートの表示を優先してください。
| 取引の例 | 入出金 | 科目 | 税区分の目安 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 食品の仕入(軽減8%) 摘要: 11/2 野菜・精肉の仕入/〇〇青果 | 出金 | 仕入 | 軽減8% | 飲食料品は一般に軽減8%。酒類は含まれない |
| 酒類の仕入(10%) 摘要: 11/2 ビール・ワインの仕入/〇〇酒店 | 出金 | 仕入 | 10% | 酒類は軽減の対象外で、一般に10% |
| 宅配便の送料 摘要: 11/2 宅配便の送料/〇〇運輸 | 出金 | 通信費 | 10% | 荷造運賃を使う店もある。決めた科目を続ける |
| 切手を買う 摘要: 11/2 切手 84円×10枚/郵便局 | 出金 | 通信費 | 非課税 | 切手・はがきは一般に非課税。使った分で処理する方法もある |
| 収入印紙を買う 摘要: 11/2 収入印紙 200円/郵便局 | 出金 | 支払手数料 | 非課税 | 一般に非課税。租税公課の科目にする店もある |
| 出先の駐車場代 摘要: 11/2 仕入れ先の駐車場/〇〇パーキング | 出金 | 旅費交通費 | 10% | 仕事で使った分。月極なら地代家賃にする方法もある |
| 電車代 摘要: 11/2 電車代 銀行まで往復 | 出金 | 旅費交通費 | 10% | 仕事の移動だけを記帳する。インボイスの扱いは税理士に確認 |
| 文房具を買う 摘要: 11/2 ペン・ノート・ガムテープ/〇〇文具店 | 出金 | 消耗品費 | 10% | 少額の備品。1個10万円以上は備品の扱いを確認 |
| チラシの印刷 摘要: 11/2 チラシ印刷 500枚/〇〇印刷 | 出金 | 広告宣伝費 | 10% | 不特定多数に配るので広告宣伝費 |
| 外注の清掃 摘要: 11/2 エアコン清掃/〇〇クリーニング | 出金 | 外注費 | 10% | 業者に頼んだ作業。自店の従業員への支払ではない |
| 家賃を現金で払う 摘要: 11/2 11月分家賃/〇〇不動産 | 出金 | 地代家賃 | 10% | 事業用の建物は一般に10%。住宅は非課税 |
| 電気代の現金払い 摘要: 11/2 10月分電気代/〇〇電力 | 出金 | 水道光熱費 | 10% | 自宅兼店舗は事業分だけを経費にする |
| 振込手数料 摘要: 11/2 振込手数料/〇〇銀行 | 出金 | 支払手数料 | 10% | 銀行の手数料は一般に10% |
4. 銀行・移動の例
現金の置き場所が変わるだけで、売上でも経費でもありません。税区分は対象外です。
| 取引の例 | 入出金 | 科目 | 税区分の目安 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 両替(帳簿のあいだ) 摘要: 11/2 レジと金庫で千円札と硬貨を両替 | 移動(出金と入金の組) | 帳簿間の移動 | 対象外 | 帳簿が1つだけなら残高は変わらない。別の帳簿との両替は移動で記帳 |
| 銀行へ預け入れ 摘要: 11/2 売上金を預け入れ/〇〇銀行 | 出金 | 預け入れ(銀行へ) | 対象外 | 現金は減るが経費ではない |
| 銀行から小口へ補充 摘要: 11/2 小口現金の補充/〇〇銀行 | 入金 | 引き出し(銀行から) | 対象外 | 現金が増えるが収入ではない |
| レジから金庫へ移す 摘要: 11/2 レジ→金庫 売上の一部 | 移動(出金と入金の組) | 帳簿間の移動 | 対象外 | 出金と入金が組になる。科目別の集計には入らない |
5. 事業主・過不足の例
店主個人とのお金のやりとりと、帳簿と現金の差額です。税区分は対象外です。
| 取引の例 | 入出金 | 科目 | 税区分の目安 | ひとこと |
|---|---|---|---|---|
| 店主が私用で持ち出し 摘要: 11/2 私用で持ち出し | 出金 | 事業主貸 | 対象外 | 個人事業の場合。経費にはならない |
| 店主が私費で補填 摘要: 11/2 レジ不足を私費で補填 | 入金 | 事業主借 | 対象外 | 個人事業の場合。店の現金が増えるが売上ではない |
| 現金過不足(入金) 摘要: 11/2 実査差額 現金が多い 原因不明 | 入金 | 現金過不足 | 対象外 | 調べても分からない分だけ。摘要に調べたことを残す |
| 現金過不足(出金) 摘要: 11/2 実査差額 現金が少ない 原因不明 | 出金 | 現金過不足 | 対象外 | 帳簿を黙って直さず、差額として記帳する |
| 釣銭準備金を用意する 摘要: 11/2 釣銭準備金 30,000円 | 入金 | 事業主借 | 対象外 | 開業時の例。帳簿を作る日の繰越に入れる方法もある |
6. レシートに10%と8%が混ざるとき
1枚のレシートに、10%の品物と軽減8%の品物が一緒に載ることがあります。このときは、税率ごとに分けて、2行で記帳する方法が分かりやすく、あとで内訳を出すときも迷いません。合計1,640円(税込)のレシートの例です。
| 明細 | 税区分 | 金額(税込) | うち消費税の目安 |
|---|---|---|---|
| 洗剤 | 10% | 1,100 | 100 |
| 飲料 | 軽減8% | 540 | 40 |
| 合計 | 1,640 | 140 |
この例では、洗剤は消耗品費・10%、飲料は消耗品費・軽減8%の2行になります(飲料を仕入として扱うかどうかは、事業の内容によります)。消費税の欄は、税込の金額から1,100×10/110、540×8/108で求めた計算の目安です。端数の処理や申告での扱いは、税理士に確認してください。レシートに税率ごとの合計が印字されていれば、その金額に合わせます。
7. 迷いやすい組み合わせ
どちらの科目でも間違いとは限らない組み合わせです。大切なのは、同じ種類の支払には同じ科目を続けることです。月ごとに科目が変わると、集計が比べられなくなります。
| 組み合わせ | 分け方の目安(一般的な例) | 確認すること |
|---|---|---|
| 消耗品費と工具器具備品 | 1個(1組)が10万円未満の道具や備品は消耗品費、高額なものは備品(固定資産)として扱うのが一般的です。 | 高額な備品は、減価償却や特例の扱いがあるので税理士に確認 |
| 接待交際費と会議費と福利厚生費 | 取引先をもてなす飲食は接待交際費、打ち合わせにともなう少額の飲食は会議費、従業員向けの食事や慰労は福利厚生費とする例が多いです。 | 金額の線引きや、法人・個人事業での扱いの違いは税理士に確認 |
| 広告宣伝費と接待交際費 | 不特定多数に配るチラシや試供品は広告宣伝費、特定の相手への贈り物は接待交際費とする例が多いです。 | 景品や贈答品の扱いは内容による |
| 事業主貸・事業主借と経費 | 店のお金を私用に使ったら事業主貸、私費を店に入れたら事業主借です。私用の買い物を、経費の科目に入れないようにします。 | 個人事業の科目です。法人は役員貸付金・役員借入金など別の科目を使う |
| 仕入と消耗品費 | 売るために買う商品・材料は仕入、店で使うものは消耗品費です。 | お客さまに渡す容器・袋などの扱いは事業による |
| 自宅と店が同じ建物 | 家賃・電気代・通信費は、事業で使う分だけを経費にします。 | 事業分の割合の決め方は、税理士に確認 |
8. 既定の科目19件の一覧
出納ポンの帳簿に最初から入っている科目です。科目は設定で足したり名前を変えたりできるので、店の言葉に合わせて使ってください。
| 科目 | 入れるもの | 摘要の例 | 税区分の目安 | 迷いやすい点 |
|---|---|---|---|---|
| 売上 | 商品やサービスを売って、現金で受け取ったお金 | レジ精算(現金分)、ランチの現金売上、カット・カラーの施術代、物販の売上、持ち帰り弁当の代金 | 一般に10%。持ち帰りの食品などは軽減8% | 現金で受け取った分だけを記帳する |
| 雑収入 | 本業の売上ではない、臨時の少額の収入 | 古紙・空き箱の売却、自販機の設置手数料、不用品の売却、取引先からの協賛金 | 一般に10%。内容により不課税のこともある | 毎回出てくる収入は、別の科目にすると見やすい |
| 仕入 | 売るために買う商品・材料の代金 | 食材・野菜の仕入、ドリンク・酒類の仕入、ヘアカラー剤の仕入、雑貨の仕入、卸市場での買い出し | 一般に食品は軽減8%、酒類は10% | 洗剤や備品は仕入ではなく消耗品費になる |
| 旅費交通費 | 仕事のための移動にかかった交通費 | 電車・バス代、仕入れに行くタクシー代、高速道路料金、駐車場代(出先) | 一般に10%。インボイスの扱いは税理士に確認 | ガソリン代は車両費など別の科目にする店もある |
| 通信費 | 郵便・宅配便・電話・ネットなど、連絡にかかる費用 | 切手・はがき、宅配便の送料、電話料金(現金払い)、ネット回線の料金 | 切手・はがきは一般に非課税、宅配便は10% | 宅配便は荷造運賃とする店もある |
| 消耗品費 | 使うとなくなる、少額の事務用品・日用品 | コピー用紙、レジロール紙、洗剤・ゴミ袋、電球、文房具 | 一般に10%。飲料などの食品は軽減8% | 一般に10万円未満が目安。高額なものは備品を確認 |
| 広告宣伝費 | お店や商品を知ってもらうための費用 | チラシの印刷、ポスティング代、看板・のぼりの制作、SNS広告の費用、ポイントカードの作成 | 一般に10% | 不特定多数向けは広告宣伝費、特定の相手は交際費 |
| 接待交際費 | 取引先など特定の相手との付き合いにかかる費用 | 取引先との飲食、お中元・お歳暮、祝い金・香典、取引先への手土産 | 一般に10%。祝い金・香典は不課税、食品の手土産は8% | 飲食は会議費・福利厚生費との区別を確認する |
| 外注費 | 自店の従業員ではない人・会社に仕事を頼んだ代金 | 清掃業者への支払、デザインの外注、設備の修理業者、撮影・ライティング、配達の委託 | 一般に10%。請求書の登録番号の有無は別に確認 | 従業員への給与は外注費ではない |
| 地代家賃 | 店舗・事務所・駐車場などの賃借料 | 店舗の家賃、事務所の家賃、共益費、月極駐車場の料金 | 事業用の建物は一般に10%、住宅は非課税 | 自宅兼店舗は、事業で使う分だけを経費にする |
| 水道光熱費 | 電気・ガス・水道の料金 | 電気代、ガス代、水道代、プロパンガスの代金 | 電気・ガス・水道とも一般に10% | 自宅兼店舗は、事業で使う分だけを経費にする |
| 支払手数料 | サービスの利用や手続きのために払う手数料 | 銀行の振込手数料、代引き手数料、決済サービスの手数料、収入印紙 | 振込手数料は一般に10%、収入印紙は非課税 | 収入印紙は租税公課の科目にする店もある |
| 雑費 | どの科目にも当てはまらない、少額の支払 | ごみ処理券・粗大ごみ代、少額の会費、ハンコ・名札の代金、科目に迷う少額の支払 | 一般に10%。内容により変わる | 雑費が多いときは、よく出る内容を科目に分ける |
| 預け入れ(銀行へ) | 現金を銀行口座に入れた記録(経費ではない) | 売上金を口座に入金、ATMでの入金、夜間金庫への預け入れ、大口の現金を口座へ | 対象外。税区分は関係しない | 現金帳簿では出金。通帳側では入金になる |
| 引き出し(銀行から) | 銀行口座から現金を出した記録(経費ではない) | 釣銭の準備、小口現金の補充、仕入れ用の現金、ATMでの出金 | 対象外。税区分は関係しない | ATM手数料は、別に支払手数料で記帳する |
| 事業主貸 | 店のお金を、店主が私用に使った分(個人事業) | 店の現金で私用の買い物、生活費としての持ち出し、自宅用の日用品、私用の食事代 | 対象外。経費にはならない | 個人事業の科目。法人は役員貸付金などを使う |
| 事業主借 | 店主が私財を店に入れた分(個人事業) | レジの不足を私費で補填、釣銭準備金を私費で用意、開業時に現金を店に入れる、私費で立て替えた分の入金 | 対象外。立て替えた経費は、経費側で税区分を決める | 個人事業の科目。法人は役員借入金などを使う |
| 現金過不足 | 帳簿と実際の現金の差額を、原因が分かるまで置く科目 | 実査での数え違いの差額、レジの違算(原因不明)、釣銭の渡し間違いと思われる差 | 対象外。原因が分かれば正しい科目に直す | 調べても分からない分だけを記帳する |
| 帳簿間の移動 | レジ・小口現金・金庫など、帳簿のあいだで現金を動かす記録 | レジから金庫へ売上を移す、金庫から小口現金へ補充、小口から釣銭を用意、店舗間の現金の移動 | 対象外。移動元の出金と移動先の入金が組になる | 片側だけ記帳すると、両方の残高が合わなくなる |
9. 出納ポンでの記帳
- 記帳の画面で、入金か出金かを選ぶ。
- 科目を選ぶ。出金には経費や事業主貸・借などの科目、入金には売上や雑収入などの科目が出ます。
- 消費税を使う設定のときは、税区分を選ぶ。科目ごとの既定の税区分が入るので、違うときだけ直します。
- 銀行への預け入れ・引き出しは、専用の科目で記帳する。レジから金庫への移動は「移動」を選び、移動先の帳簿を指定する。
両替・銀行・移動の記帳は使い方に、差額が出たときは現金過不足とはにあります。
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この記事の信頼性 運営は店舗運営支援の個人事業「ここ企画」で、税理士ではありません。科目の区分と消費税の扱いは、事業の状況(個人か法人か、課税事業者か、インボイスの登録など)で変わるので、迷うものは税理士に確認してください。この記事の表は一般的な例で、税務の判断を示すものではありません。法令の数字は、国税庁の一次情報で確かめてください(国税庁 消費税の軽減税率制度・インボイス制度、適格請求書発行事業者公表サイト)。最終確認日: 2026年11月2日。